2021年03月24日
「その川には手ぇ出さないほうが人生のためです」
戦いに敗れて、
「わはっ」という笑いとともに
止めていた息を吐き出し、
ロッドティップを見上げると
月が赫いている18時過ぎ。

この日は朝10時、出版社へ。

4時間働いて、14時退社。
地下鉄、JRと乗り継ぎ、各駅停車にしびれを切らし、
特急停車駅で飛び下りて、
特急に乗り換えた。
16時、川に到着。
先日の雨でほんの少し水量が増えているのが嬉しい。
まずは気になる上流のポイントへと
釣り上がった。

まるで気配を感じないまま数百m。
今度はそこからソフトハックル、
ニンフを流しながら下ってきた。
何も反応はない。
このところ、ここでは見かけなかった釣り人、
しかもフライフィッシャーがいた。

ごめん、あなたが釣っているそこは、
俺が釣り上がりながら歩いたところ。
いったん川を上がり、
彼の釣っているところを迂回して、
100mほど下流、気になるジョビ男石ポイントへ。
川に到着した時はライズはなかったが、
この時間、時折小さなライズのしぶきが上がっている。

1時間、立ち位置を変えフライを替え流し方を変えて狙い、
前回のように何度か魚は出たが、やっぱりダメ。
「やられた……」のに、
なんだかニヤニヤしている自分が分かる。
どこかで同じような人の話を読んだなあ、
と思っていたら、これだった。
〈苛立ちや歯痒さや軽い怒りのような感情がその主なものだが、その中にわずかながら幸福感が占めているのを認めざるをえない。イライラ、カリカリしながらも、顔には薄笑いが浮かんできてしまうような〉
日没とともに「参りました」と一言口に出し、
重いベストを下ろし、ロッドを擱く。

釣れたほうが楽しいのはもちろんだけど、
「釣れなくても楽しいな」なんて考えているのは、
なんだか「どうなのよ」って。
完全に日が沈み、光を増す上弦の月。

釣り仲間でありこの川の先達であるH氏に、
この顛末をメールすると、
「その川には手ぇ出さない方が人生のためです」
との返信。
なるほどなあ。
……でも、また手を出しちゃうんだろうなあ。
「今度はあそこからああやって流してみよう」
と、帰ってきてすぐ考えてる。
ところで、帰ってきてから、
「どんな重量を背負って仕事行って川に行ったんだ?」
とバッグの重さを量ってみた

ウェーダー、ウェーディングシューズが濡れているので
重くなっているとはいえ7.3kg。
なかなかの重さだ。
……と思っていたら、
そろそろ春休みに入るので学校に置いてあった本など
全部持って帰ってきた中学生の娘が、
「あたしが今日持って帰ってきたのも量って!」
と言って持ってきた。
15kgあった。
君はエラいな!
「わはっ」という笑いとともに
止めていた息を吐き出し、
ロッドティップを見上げると
月が赫いている18時過ぎ。

この日は朝10時、出版社へ。

4時間働いて、14時退社。
地下鉄、JRと乗り継ぎ、各駅停車にしびれを切らし、
特急停車駅で飛び下りて、
特急に乗り換えた。
16時、川に到着。
先日の雨でほんの少し水量が増えているのが嬉しい。
まずは気になる上流のポイントへと
釣り上がった。

まるで気配を感じないまま数百m。
今度はそこからソフトハックル、
ニンフを流しながら下ってきた。
何も反応はない。
このところ、ここでは見かけなかった釣り人、
しかもフライフィッシャーがいた。

ごめん、あなたが釣っているそこは、
俺が釣り上がりながら歩いたところ。
いったん川を上がり、
彼の釣っているところを迂回して、
100mほど下流、気になるジョビ男石ポイントへ。
川に到着した時はライズはなかったが、
この時間、時折小さなライズのしぶきが上がっている。

1時間、立ち位置を変えフライを替え流し方を変えて狙い、
前回のように何度か魚は出たが、やっぱりダメ。
「やられた……」のに、
なんだかニヤニヤしている自分が分かる。
どこかで同じような人の話を読んだなあ、
と思っていたら、これだった。
〈苛立ちや歯痒さや軽い怒りのような感情がその主なものだが、その中にわずかながら幸福感が占めているのを認めざるをえない。イライラ、カリカリしながらも、顔には薄笑いが浮かんできてしまうような〉
(黒石真宏著『鱒旅』「レイルロード・ランチ」黒石商店刊)
日没とともに「参りました」と一言口に出し、
重いベストを下ろし、ロッドを擱く。

釣れたほうが楽しいのはもちろんだけど、
「釣れなくても楽しいな」なんて考えているのは、
なんだか「どうなのよ」って。
完全に日が沈み、光を増す上弦の月。

釣り仲間でありこの川の先達であるH氏に、
この顛末をメールすると、
「その川には手ぇ出さない方が人生のためです」
との返信。
なるほどなあ。
……でも、また手を出しちゃうんだろうなあ。
「今度はあそこからああやって流してみよう」
と、帰ってきてすぐ考えてる。
ところで、帰ってきてから、
「どんな重量を背負って仕事行って川に行ったんだ?」
とバッグの重さを量ってみた

ウェーダー、ウェーディングシューズが濡れているので
重くなっているとはいえ7.3kg。
なかなかの重さだ。
……と思っていたら、
そろそろ春休みに入るので学校に置いてあった本など
全部持って帰ってきた中学生の娘が、
「あたしが今日持って帰ってきたのも量って!」
と言って持ってきた。
15kgあった。
君はエラいな!
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