「そんな日もあるさ」と思える者は幸いである:いない魚は釣れんよ?

亮太

2021年03月27日 18:58

アマゴの川でロッドも疲れ果て横たわる。


秘密の釣り場を見つけた(と思った)釣り人2人……。
〈魚が隠れてるな、これ。餌を入れた途端にパクリっと来るよ?
入れりゃあパクリで、入れパクだぁ。秘密だよ、誰にも言っちゃダメだよ。
二人でやりましょう!

……なんて、一生懸命二人でやってるってえと、そこにまた、土地の人が通りかかりまして……
「おや? お楽しみですかぁ?」
えー、どうも、ありがとうございます。
「どうですぅ? 釣れますかぁ?」
う、え、えーっ、それがですねぇ、今朝っからやってんですけどねえ。まだピクッとも来ないんですよ?
「ああ、そうかもしれませんねえ。ここは、ゆんべの雨で水がたまったんですから」〉

(柳家小三治「野ざらし」のマクラより)


素晴らしい川に見えても、実は前日の雨でできた
ただの水たまり、流れ道だったりするのかもしれませんねえ。
釣り券買ったけど。

まだアマゴを釣ったことがない俺は、
「人生の初アマゴが尺アマゴか。やったね」
と思って家を出たのだった。
楽観的だな!


5時半に家を出て、10時前に到着。
水量もあり適度に石も入り、いかにも釣れそうだ。


水温は7℃と、ちょっと厳しいかも……と暗い予感。




一日一緒に苦行に耐えた彼に教えてあげたい。
「あなたには今日一日、何も起きないであろう」
(この写真を撮ってるお前にも何も起きないけどな)



何もないまま昼過ぎ、爆風のなか、
よれよれと流れてきたマエグロヒメフタオカゲロウ。


水温を測ると9℃に上がっている。
ちょっと状況は上向いたか? そう思った自分を褒めてやりたい。
楽観的だな!


釣りをしました(「釣りました」とは言ってない)。


釣りをしました(「釣りました」とは以下略)。


夕方近くなり、急に何かが起こるかも、
と離れて水面をにらみ続ける。
急にライズ起きるんじゃない?と。
楽観的だな!


二手に分かれ、彼は上流をにらみ続ける。



ずーーーーーっとなんにもない、なんにもない。
それでも、二人は日が沈むまで、
諦めることはなかったと、ここに記しおく。

でもね、魚いないよ。
ホントにね、明日は知らんけど、
昨日はいなかったよ。
まじで。
そう話すと、みんな「へえ」って相手にしないけど、
ホントだよ?
いないんだから。
いない魚は釣れんよ?


山の陰に夕日が入り、
最後に12番マシュマロ&ディアヘアを結び、
3投した。
なんにもない、なんにもない。


とにかく最後までライズもアタリも、
足元から走るのも、
とにかく、なんにもなんにもない。


ずいぶん悔しかったはずなのに、
3時間もすると、「まあ、そんな日もあるさ」って、
思っちゃうんだよな。
おめでたいヤツである。

※ものの本によると「ここは4月に入り水温が上昇し始めた頃から釣果が出始める」……そういうポイントだそうです。
先に「ものの本」とやらを読めばいいのに、と女房に言われました。



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