父への手紙〈その『黄色いやづ』「開げでみろ」〉:ごらんよ! これが箔押しだ!
『黄色いやづ 真柄慎一短編集』
真柄慎一 著 フライの雑誌社
装画 いましろたかし
解説 荻原魚雷
四六判 192ページ 本体1600円+税10% 定価1760円
この黄色みはぜひとも手に取って確かめてほしい。
こんな画像じゃ黄色さを伝えられない。
風水では「とにかく黄色いモノに包め」と言われる宝くじ。
俺から届く宝くじを楽しみにしている父82歳に、
宝くじをはさんだ『黄色いやづ』を送ることにした。
これも「親孝行」(本書141ページから)だ。
同封した手紙に、
〝『黄色いやづ』に宝くじはさんだから「開げでみろ」(5ページから)。〟
と書いた。
大きく当たりますように。
本書中、一番好きなフレーズは、
書名にもなっている「黄色いやづ」(27ページから)の
遊漁券を買いに入った店の東北親父との会話。
〈「フライでも釣れますかね。」
「うでだ。」〉
「うでだ。」……シビレルぅ。
そしてひりひりと共感したところ。
「コート掛け」(121ページから)の最後。
フィッシングベストを忘れて釣りに行き、
なんとかフライとクリッパーだけは手に入れて、
夕方まで釣りをしたものの……。
〈間違って特別な魚がかかればドラマのようなストーリーだが、暗くなるまでロッドを振って一度もアタリはなかった。〉
そうなんだよ。
ボの字の日は、いつも「最後にすごい魚が釣れれば」と思いながら、
結局報われない日没を迎える。
そんな日が今月に入ってすでに4日もあるのだ。
やりきれんよ。
前代未聞のコール、
「箔押し! はくおし! ハクオシ! HAKUOSHI!」
が起きたという噂の……ごらんよ! これが箔押しだ。
伝わらないなあ、この盛り上がり。
これもぜひ手に取って、
タイトル部分を撫でてみてほしい。
関連記事